実は身体に悪い⁉やってはいけない運動やストレッチ

効果を実感

皆さんが自身の身体に良かれと思って行っている運動やストレッチ。身体のことを理解せずに自己流で行うと返って運動パフォーマンスや健康を損なう可能性が潜んでいることがあります。
ここでは、そんな良かれと思って行っているのにも関わらず、実は身体に良くない運動やストレッチを2点程解説と対策を含めご紹介させていただきます。

ベンチプレスのやり過ぎ

これは週に2回以上胸を中心にトレーニングされている方に多いです。
ベンチプレスをやり過ぎることにより「胸郭出口症候群」という病態を発症してしまいます。

1)「胸郭出口症候群」とは

胸郭出口症候群とは、肩や腕、手先の運動に深くかかわる神経に何らかの原因で圧迫や締め付けが生じ、「肩周り~腕、手先にかけて痛みやしびれ,だるさ」等の症状が出ている状態です。自覚症状が強いのですが、周囲に理解されにくく、罹患者が困惑してしまうことが多い厄介な病態です。
症状は処置せず放置していると悪化してしまう恐れがありますので、注意が必要です。

 

2)ベンチプレスをやり過ぎるとなぜ「胸郭出口症候群」になってしまうのか?

胸郭出口症候群により神経を圧迫してしまう個所は、3箇所あります。

  • 斜角隙
  • 肋鎖間隙
  • 小胸筋隙

とあります。要するに神経には通り道があり、筋肉や骨格の隙間を通るためのトンネルが3箇所あると理解してください。
そしてベンチプレスをやり過ぎてしまうことにより、この3箇所のトンネルが狭くなってしまい、潰され、神経を締め付けてしまい「胸郭出口症候群」を発症してしまうのです。

ベンチプレスの基本姿勢は胸を張り胸の筋肉にストレッチをかけながら行うのが主流です。
胸を張る行為は肩甲骨を下制、下方回旋の動きを伴い、いずれも3箇所のトンネルを狭くしてしまいます。
この状態で運動をし続けることにより、「胸郭出口症候群」の発症を誘発してしまうのです。

3)対策

①肩甲骨を下制させ過ぎないため、肩甲骨を挙上させる筋肉を鍛える。

立位にて1㎏程の軽いダンベルを持ち、肩をすくめる運動を行ってください。
※この時に重要なのは高重量でやらないことです。高重量で行ってしまうと重さに引っ張られてしまい逆に肩甲骨の下制を誘発してしまうからです。

②小胸筋のマッサージ

【右側】

  1. 右の乳頭から上に真っすぐ移動し、鎖骨の下へ自分の左手指を置く。
  2. 指三本分外側に這わせ筋肉の隆起を確認する。
  3. 指先で小さな円を描くように外側に向け優しくマッサージする。
  4. 位置を左右や下にずらしながら30秒程行う。
  5. 手を入れ替え、反対側も同じように行う。

腸腰筋の誤ったストレッチ

腸腰筋のストレッチ自体は、慢性腰痛や急性腰痛の予防に大変有効です。
しかし、股関節の前部にある腸腰筋を伸ばしたい一心で股関節を過剰に反らすようなやり方は股関節の周りにある組織に負担をかけてしまい、股関節周りの痛みを誘発してしまいます。

1)何故、痛みを誘発してしまうのか?

股関節前方の「関節包」にストレッチをかけてしまっているからです。
「関節包」とは関節を包んでいる袋状の被膜のことです。
股関節にはまっている骨頭が前に押し出されないようにこの関節包が靭帯と共にその役割を担っています。
関節包は硬くもなく柔らかくもない適度な状態であることが必要であり、股関節を過剰に反らすストレッチを行うことによりこの適度なバランスが破綻してしまいます。
そのことにより関節包の前部が過剰に緩んでしまい、股関節の骨頭が前方に押し出され、股関節を前に曲げた際に股関節の前方にある腸腰筋を挟みこんでしまいます。
股関節の過伸展⇒関節包の前方のゆるみ⇒股関節骨頭前方変異⇒股関節屈曲時インピンジメント発症⇒痛み
このように股関節事態に悪い影響を与え痛みを誘発してしまいます。

2)股関節に負担をかけない腸腰筋のストレッチのやり方

・股関節の関節包前面にストレッチがかからないようにする。
・腸腰筋にのみアプローチをかけるストレッチを行う。
上記2点を意識し行います。
①立位にて、伸ばしたい側の足を後方、逆足を前方へ約1mの間隔に置く
②伸ばしたい側の膝を体幹の真下にくるよう床につく
③お尻の筋肉に力を入れて骨盤を後傾させる。
④お腹をへこませ体幹部に力を入れる。
この状態で股関節前部に伸びている感覚があれば、関節包でなく腸腰筋のみに効いているストレッチが出来ています。これを両側20秒セットずつ行いましょう。

まとめ

ストレッチ筋トレもストレッチもただ行うだけでなく、どこを鍛えているのか、伸ばしているのか、何故行うのかを意識していくことが大切です。

長い月日をかけて行ってきたことが実は逆効果で返って身体に悪い影響を及ぼしていたとなると悲しいですよね。運動やストレッチを実施する前に必ず自身の目的にマッチしているかを確認してから行うようにしましょう。

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